その時初めてみたKAKIの家具、そしてその家具を使って暮らす柿谷さん3兄弟はかっこ良かった。将来、こんな家具と生活してみたいと思ったのが今の始まりと言えよう。ただ正直に言うと自分の稼ぎで買えるような値段でもなかった。でも、ここが人生のターニングポイントになったと思う。
それから、年に一二度のペースで遊び行ってたけど、ただ憧れるばかりで購入まではまだほど遠い。それでもいろいろな刺激をもらえて楽しかった。
13年後の1991年、結婚を機に100万円分の家具を買おうと決意。清水の舞台から飛び降りる心境であった(清水寺には行ったことがないけど(笑))
KAKIさんに100万円の予算で何が買えるかと相談に行くと、逆に誠さんに何が欲しいと聞かれた。欲しいものを順番に、それも遠慮なくズケズケと並べた。その時点で予算は超えてたと思うけど、誠さんが一言「いいよ」って。年に一二度通ってた心意気を買ってくれたんだなって思った。ホームカウンター、グラスラック、カウンターチェア2脚、ダイニングチェア2脚、デスクワーク2台、鏡を全てカスタムサイズで作ってもらえた。このカスタムサイズを算出してくれたのが正さんでした。このサイズ感が間違ってたら住みにくい家(部屋)になってたはず。正さんのサイズ感はバッチリと決まって不便さを感じたことが一度もない。
ありがたいことに、KAKIさんところのペンキ塗りをさせてもらったりしてます。
バックボードやギタースタンド、譜面台は清さんに相談して作ってもらいました。一つ一つ丁寧な作り込みで見てるだけでうっとりします。
譜面台なんて特に贅沢です。
3年前にようやくリビングテーブルが我が家にやってまいりました。
結婚以来24年もセンターテーブルがなかったのです。これも不思議ではありますが。
幅奥行き高さはこちらからの注文ですが中棚や引出しのサイズ感は清さんにお任せしました。有るようで無い大きさのテーブル、高めのセットがソファに座りながら物が書けたりして便利でかっこもいいです。
これが設置された頃に正さんの病気がわかったそうです。
そして3年後にお亡くなりになりました。
ここまでは家具のことばかり並べてきましたが、柿谷さんご兄弟からたくさんのことを学ばせてもらいました。それは仕事だったり、生き方だったり、趣味のスキーや音楽、オートバイ、水泳、トライアスロンなど。自分の生きる術を全て教えてもらったと言っても過言ではないです。良き先輩に恵まれたことは幸せです。
KAKIさんの家具を使ってると「お金持ちですか?」とよく言われますが、そんなことはなく、一般庶民です。だから背伸びしてます。でも心が豊かになるんです。
来年、KAKIさんとお付き合いが始まって40年になります。家にある家具の数々は100年以上使えると思います。自分がこの世から居なくなったら、誰か使ってくれるでしょう。